さとり世代新人のトリセツ【美容室経営相談室】

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あなたの美容室には、さとり世代の新人はいますか?さとり世代とは1990年代半ば以降に生まれた、ゆとり世代と似たような時期か、その後の世代の若者のことを言います。ちょうど昨年や今年、あなたの美容室に入ってきたアシスタントも恐らくその世代でしょう。いつの時代も最近の若者はよくわからないと言われてしまいがちですが、タイプ別の特徴とどのように接するべきかを見てみましょう。

目次
1、出世・独立志向がある新人
2、やる気を失った新人
3、普通もしくは本音を隠す新人
4、まとめ【放っておくように気にかける】

1、出世・独立志向がある新人

ゆとり、さとり世代の特徴は、とにかく覇気がありません。お金は生活できればそれ以上はたいして欲しくないし、目立つことはしたくない。人と仲良く、波風立てずに過ごすことが優先だから戦うことは大嫌いです。しかし、少数ながら「絶対にテッペンとってやる」という新人がいます。

1−1 特徴

とにかく、情熱的です。朝から晩まで練習や雑用も必死でやります。まるで、かつてのあなたのような新人です。少しでも盗める技術がないかと、先輩スタイリストを熱い眼差しで見つめています。もしくは、絶対に追い越してやるとバチバチと闘志を燃やしています。やる気があるため、スポンジのように教えたことを吸収していきます。性格面は、尖っていて同期から孤立してしまうか、もしくは素直で人懐こい人望のあるタイプに分かれます。

1−2 どう接するか

最近ではめっきりこのような新人が減ってしまいました。数少ないやる気に溢れた、しかも目標や情熱のある新人はきっとあなたの美容室に貢献してくれます。成長意欲を支援しましょう。このような新人の周りには、周囲のさとり世代が生温く、物足りなく感じています。良いライバルや良き先輩上司を常に探しています。そして、何より打たれ強いので、指導をある程度厳しくても問題ありません。良い感じに育った頃に、早々に独立されてしまわない工夫をすることだけはお忘れずに。

2、やる気を失った新人

あなたの美容室に入ってきた新人も時が経てば、さまざまな変化が出てきます。志を持って国家資格を獲得したのにも関わらず、美容室に入って、技術の高い先輩や同期を目の当たりにして、厳しい現実に直面します。

2−1 特徴

はじめは希望に満ちあふれた新人だったのに、朝から夜まで体を酷使しているうちに、自分よりすごい同期や先輩の技術を見ているうちに、だんだんと自信を失っていきます。そして情熱を次第に失い、腐りはじめます。楽しみなのは休日と給料日。口を開いたかと思えば、不平不満。「もう辞めようかな」と何回口にしたかわからないでしょう。あなたが忙しくしていても、お客様が何かをして欲しそうにしていても知らん顔をしています。本当に気が利きません。何か問題を起こした後にあなたがクビにするか、向こうが辞めると言ってくるかの間を行ったり来たりしながら宙ぶらりんな状態です。

2−2 どう接するか

根気強く面倒を見ましょう。しかし、文句タラタラでも何とか美容室にやって来て仕事はします。来ているうちは、まだ希望があります。「辞めたい辞めたい」と言いながらも、心の中では何とかしたいと思っている場合もあります。更には、構って欲しい、助けて欲しいのサインを出している場合もあります。

しかし、ある日後輩ができたり、良いお客様に出会ったりと何かの転機で、やる気のある新人に変貌することがあります。たまに飲みに連れて行ったり、休みの日に一緒にどこかに行ってみるなど、あなたの恩を売っておいて下さい。それでも何年経ってもあなたの想いが届かない場合もあります。届いた時にどう成長するかを醍醐味に地道に面倒を見てあげて下さい。

3、普通もしくは本音を隠す新人

あなたの美容室の新人は「恐ろしい程いい子」ではありませんか?どの美容室にもこのような新人が多くなっているようです。先日クライアントの美容室で、新人がいきなり音信普通になるという事態がありました。その新人も「恐ろしい程いい子」アシスタントでした。オーナーも他の従業員も思い当たる節がないようで、しきりに「何で?」「ショックすぎる」と言っていました。

3−1 特徴

遅刻もせずに、特に不満も言わずに真面目に仕事をします。先輩上司の指示に従いスムーズに動きます。かといって何か目標がある訳でもなく、無難に仕事をこなします。怒られない程度に、褒められもしない程度に仕事をします。飲み会などに誘っても、当たり障りなく断ってきて、絶妙な距離感を保ってきます。

「大丈夫です」「特になにもありません」が口癖で、本心を隠したがります。パッと見で悩みがなさそうに見えるため、周りも本人の変化に全く気が付きません。ある日、張り詰めた糸が「プッツン」と切れるように、辞めてしまったり、連絡が取れなくなってしまうことがあるようです。

3−2 どう接するか

自分の感情を上手に表現できるあなたのような世代や、勢いのあるその上の世代からすると得体の知れない世代です。あなたもしくはそれより上の世代から見れば、「何で言わないの?」「そんな様子は微塵もなかった」など、全く理解不能な行動をされたり、想像もつかない結末になることが多いのです。

本音を隠すのがうまいので、気をつけて観察していても、見逃してしまうことがあります。あなたが手を差し伸べても、簡単にはその手を握り返してはきません。つまり、手がかからないように見えて、やる気のない新人よりも手がかかるのです。細心の注意を払って観察し、少しの変化を見つけたら、さりげなく「いつでも言ってね」とそっと声をかけましょう。

あなたが本当に信頼できる人だと分かった時に、本音をポロっともらしてくれるかもしれません。先輩上司の情報収集を怠らないように、また全員でサポートしていけるような体制を作りましょう。さとり世代は、競争は嫌いですが、「仲間」や「人の温かさ」や「調和」は嫌いではありません。

4、まとめ【放っておくように気にかける】

実は最近、上記の美容室以外でも、さとり世代かついい子が「プッツン」と静かに姿を消す話をいくつか聞きました。これは偶然なのでしょうか。そしてなぜこのようなことが起きてしまっているのでしょうか。世の中が、子どもを過保護に育てすぎているからなのです。あなたの世代や、それより上の世代は近所のおじさんから怒られたり、先生から殴られたこともあったでしょう。しかし今では、親からも怒られたことがない子どもが急増しています。親が学校に文句を良い、果てには職場にまでクレームを言うまでになってきました。

さとり世代の新人は人との協調性を重視し、人に嫌われないように、面倒だと思われないように静かに暮らしています。手広くいろいろな人々と上手くやっていく一方で、本音はごくごく親しいにしか話しません。ラインやtwitterなどで不満をもらすことは得意でも、口や感情に出して人に伝えるスキルがありません。

あなたがまるで親の代わりに、人としての基本からやり直しをしてやらねばならない時代になってしまいました。成長の過程で、つまずいたり怪我をしたことのないさとり世代は、打たれ弱いまま大人になります。そしていきなり社会に放り出されると、あっと言う間に潰れてしまいます。

まずあなができることは、ただの大人しい性格なのか、本心を隠しているだけなのか、見極めることです。また、歩み寄ると離れていくため、距離感をうまく保つことも必要です。「プッツン」と音を立てて崩れ去らないように、細心の注意を払いましょう。そして、結果よりも過程を褒めてあげるなど、性格や人格から受け入れてあげましょう。

本当にどう接していいか分からない、さとり世代ですが、1番やってはいけないことは、「分からない」とあきらめたり、「まあやってるからいいか」と放っておくことです。親しい人間とのラインやtwitterを上回る、居心地の良さをあなたの美容室で感じさせてあげて下さい。その時はじめて、さとり世代の新人は、かけがえのない居場所として忠実に居続けてくれるようになるでしょう。そして将来、あなたのような美容室をつくりたいと言ってくるかもしれません。

参考:『「うちの新人」を最速で「一人前」にする技術』 講談社 

 

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